信じて欲しいよ

やっぱり優しいよね!

『なぁ』
そう、成君が話しかけて来たのは、この席に成ってから一週間程経ったとある日の授業開始の挨拶を終えて着席して直ぐの事だった。
『ん?どうかしたの?』
私はそう、返した。
『教科書忘れたから見せて』
あ、又だ。
“見せろ”じゃなくて“見せて”。
何か成君はどことなく優しい気がする。


他の人には
『イケメンだけどアイツ冷たいから隣とか寧々、可哀想だよー』
とか、
『無愛想な奴隣だと授業中色々大変だよねー』
とか言われるけど、そんな人じゃない気がする。


『うん、良いよ!』
と、私は言いながら教科書を成君の方へとずらす。
『ありがと』
ほら、本当に冷たい人はありがとうとかお礼も言えない筈だもん!
成君勘違いされてるだけで、優しいって!
と、私はとある邪悪な幼なじみを思い出しつつ心の中で叫んだのだった。
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