一途のうた
『えっ? 今なんて言った?』
『仕方ないことだってある……』
『あたしのこと嫌いになったの?』
『いや、好きだよ』
『だったらどうし……』
『――愛してる』
『あたしも好きだよ、愛してるよ?』
『知ってる。……良い恋見つけろよ。じゃあな』
『待っ……』
あたしの気持ちを置き去りにして、貴方はあたしの中から消えた。
手に握る電話の奥から聴こえるのは、ピリオドと告げている哀れみをおびた機械音。
いくら待っても貴方の声はもう、聴こえなかった。
ただ一定のリズムを刻む、機械音。
分からない。
お互いが好きなのに、離れ離れになる理由が。
それすら聞けなくて、途方に暮れ、あたしに出来ることは、泣くことだけだった。
……
恋はいつも、
淡く、
酸鼻で、
甘酸っぱい。
でも
泣くのはいつも、
一途なあたしだけだった。
……
あたしが泣くときは
あなたも泣いて
孤独は
やだよ
孤独になって
泣くくらいなら
恋なんてもう
したくないよ……