一途のうた
First Part
・奇跡とか運命とか
「えっ? サッカー部が廃部?」
頭上から降ってくる言葉に、あたしは思わず上体を起こした。
『お昼食べよ』そう言うロングヘアーの女が、あたしを呼んでいる。
手入れを怠らないサラサラな髪の毛、理想のラインを描く小顔の輪郭に、二重の瞳。
ほんのり入れたアイラインが魅力を引き立てる。
この顔を見るといつも、あたしは嫉みを覚えるんだ。
綺麗すぎなんだよ。
「今寝てたでしょ? トモミが机に突っ伏すと、数秒後には夢の中だもんねぇ」
「そんなことないってば」
バカにしてくる舞子の額を、傷ひとつない綺麗な額を、ツンと突いてやった。
もちろん嫉みの意味も、多少込めて。
「で、なんで廃部?」
「弱小だから」
「……えっ、理由それだけ?!」
確かにあたしの中学校のサッカー部は、唖然となるほど弱いよ。
部員も11人ぎりぎり。
練習試合も年に、両指の折れが余る程度。
でも真面目に練習はしてる……のかな?
よく知らない。
「かわいそうかも」
よく知らない方が可哀想なんじゃない?
自分で言った言葉に、一応反論を付け加えておいた。
「ウチら、サッカー部に縁ないんだから、気にすることないよ」
確かに縁はないけれど。