一途のうた
「トモミは最近どう?」
小さな口で玉子焼きを頬張る舞子が、あたしを見つめてくる。
あれはいつのことだったか。
いや正確には、覚えていられるほど最近のことだけど……あたしは失恋した。
同じ学校の同じ学年の男子だった。
毎日好きだ好きだって言うあたしは、はっきし言って独りで浮かれていたように思える。
[愛してるよ]
最後の声を聞いたあの日、愛してるって初めて聞いた。
愛してるはもちろんのこと、好きだともあまり言わなかった。
でも優しくて一途な彼だったから、あたしも限りなく一途だった。
まさかこんな終わり方になるなんて想ってもいなかったし、夢じゃないかって何度も疑ったんだ。
もう何も思い出せない、思い出したくない。
[もう恋なんてしない]
自分で言って、自分で大袈裟じゃないかって思う。
でもこんな恋は初めてじゃなから、
ぶっちゃけ、もう疲れた。
好きなのに届かなくて
泣いて泣いて、でも向こうは笑って。
“これが恋なんだよ”
そんな正論なんて聞き飽きた。
あなたはいつの間にか
ふらりと消えていくんだ。