空白は薔薇で埋めて
気づけば人気のない屋上に来ていた。お昼を食べる以外に利用価値のないこの場所は、風の音しか聞こえなかった。
思いがけず目撃してしまった浮気の証拠現場。相手は同じサークルの先輩だったんだ。
(これは確定かな・・・。)
ポケットからゆっくり携帯を取り出し、数時間前にかけた番号をもう一度リダイアルする。今度は、すぐに繋がった。
「もしもし、どうした?」
いつもと変わらない調子の声。1日に2回も電話をかけることなんてないから少し驚いてはいるが、まさか私が見ていたなんて気づいていなかったようだ。
「ねぇ、航平。私と会わなかった日、何してたの?」
「何って、大学で研究してたんだよ。今月末が研究発表だって、前説明しただろ?」
そう。文系の学部に所属している私と違い、理系の学部に所属している航平は、実験などの研究をしその結果を期限内に提出しなければならない。
私はその尤もな理由に、ずっと騙されていたわけだ。
「もういいよ?そんな嘘つかなくて。・・・先輩と、会ってたんでしょ?見ちゃったんだ。今日、航平のいる教室に行ったから。」
え、と驚いた声が電話口の向こうから聞こえる。
「思い当たること、あった?ついでに先輩に手取られたのも思い出した?」
「ちがっ!あれは・・・」
「違うの?今週もこれる、なんて言われておいて。もう言い訳するのやめたらいいのに。」
ついさっき、聞いた会話が繰り返される。言葉がどんどんどんどん口から出て、もう自分でも何が言いたいのかわからなくなってきた。
「何を怪しまれるの?浮気してるってこと?航平は何を先輩に提案したの?」
「待って!話を聞いてくれ!」
航平はまだなにか言おうとしてくる。もう・・・聞く気なんてないのに。
「ごめん。言い訳なんて聞くつもりないから。私が見たあれが何よりの証拠でしょ?・・・サヨナラ」
言い終わってすぐに電話を切る。すぐに電話がなるが全て無視した。電源を切って、家に帰った頃には電話は静かになっていた。
思いがけず目撃してしまった浮気の証拠現場。相手は同じサークルの先輩だったんだ。
(これは確定かな・・・。)
ポケットからゆっくり携帯を取り出し、数時間前にかけた番号をもう一度リダイアルする。今度は、すぐに繋がった。
「もしもし、どうした?」
いつもと変わらない調子の声。1日に2回も電話をかけることなんてないから少し驚いてはいるが、まさか私が見ていたなんて気づいていなかったようだ。
「ねぇ、航平。私と会わなかった日、何してたの?」
「何って、大学で研究してたんだよ。今月末が研究発表だって、前説明しただろ?」
そう。文系の学部に所属している私と違い、理系の学部に所属している航平は、実験などの研究をしその結果を期限内に提出しなければならない。
私はその尤もな理由に、ずっと騙されていたわけだ。
「もういいよ?そんな嘘つかなくて。・・・先輩と、会ってたんでしょ?見ちゃったんだ。今日、航平のいる教室に行ったから。」
え、と驚いた声が電話口の向こうから聞こえる。
「思い当たること、あった?ついでに先輩に手取られたのも思い出した?」
「ちがっ!あれは・・・」
「違うの?今週もこれる、なんて言われておいて。もう言い訳するのやめたらいいのに。」
ついさっき、聞いた会話が繰り返される。言葉がどんどんどんどん口から出て、もう自分でも何が言いたいのかわからなくなってきた。
「何を怪しまれるの?浮気してるってこと?航平は何を先輩に提案したの?」
「待って!話を聞いてくれ!」
航平はまだなにか言おうとしてくる。もう・・・聞く気なんてないのに。
「ごめん。言い訳なんて聞くつもりないから。私が見たあれが何よりの証拠でしょ?・・・サヨナラ」
言い終わってすぐに電話を切る。すぐに電話がなるが全て無視した。電源を切って、家に帰った頃には電話は静かになっていた。