🍓夫の溺愛(大学教授の場合。)

結婚には反対ですか?

梅雨も開けて7月半ば
蝉が一斉に鳴き出した。



「えらいなぁ!!ちゃんと自分の
季節を知ってるなんて。」


空にはモクモクと、
アイスクリーム型の雲が
あちらこちらに陣取っている。
夏!キター!!


今も一朗太のマンションには
恵さんの姿が
ある。

しかし9月になったら
違う男の人が一朗太の
係になるらしい。
すぐに移動は、認められず
9月まで延びている。

「ふん。勝ったと思った?
 あんたのせいで人生台無し!!。」


 「浮気なんかするからでしょ。
 一朗太は、あなたと
一緒になる
つもりだったんだよ。

  私じゃない、あなたがその
権利を
  捨てたんだから!!
  なんで浮気なんか
したんです
か?」


そう言うと彼女は、泣き出して
しまった。


「返してよ。
 一朗太を返して。」


 「私も辛い思いをして、
返しましたよ。
  でも一朗太は、
私を選んだんです。
  だから‥
  諦めて下さい。」


30歳、彼女にも良縁があると
良いなとおもう
一朗太も口では言わないけど
長く付き合った女を
心配しないはずはない。



その一週間後7月も後半の暑い日に
も関わらず、きちんとスーツを
着こんだ、ビジネス、ツーブロック
の40代の男性と、



同じ年頃のような胸に弁護士バッチ
を付けた七三のキッチリ分けた髪、
背も180はあるだろう、気難しそう
な男性が美奈の帰りを待つかのよう
にマンションの入り口に立って
いた。

不振な顔をして近ずくと
写真と美奈を比べるように
冷ややかな眼差しを投げてきた。


眼鏡のめっけんを押さえながら


  「高木美奈様でしょうか?」


「は‥い。」


 「わたくし、百武グループ
  百武総合病院、顧問弁護士の
  山田壮太と申します。

  こちらは秘書の江坂と申しま
す。」


「は‥あ。」
二人から名刺を渡されてドギマギ
していると

「一朗太様の事でお話があります。
 百武慶一郎様も会いたいとの事
なので宜しければ御足労いただき
たいのです。」


「はい。わかりました、私も
 一度会いたかったので!」


美奈は黒塗りのお高そうな車に
乗りこれまたお高そうな
料亭へと招待された。


街のど真ん中にこんな所
あったっけ?
と思う程、入り口を抜けたら
またまたお高そうなお庭が出現!!

段々足がすくんできた。
カフェかな?居酒屋かな?とか
思っていたのに別世界の人に逢う
緊張感が今更ながら沸いてきた。


「失礼します…美奈様をお連れしました。」
 弁護士さんが声をかけると

 「ああ、」と返事がきこえた。


襖がサササっとあくと、着物をきた
50代半ばのドッシリとした、
一郎太によく似た、人物と彼の
母親がかまえていた。


お嬢様学校を出たため
襖の開け閉め
畳のさんを踏まないこと
など思いだした。

 


 
  





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