卒業します
ひとしきり涙を流し

もう、溢す涙が一滴も残っていない頃

「歩ける?」と一言声を発した。




…………………………コクリ。

首を縦に動かすと

ソッと背中に手を回して

近くのコインパーキングに誘導した。

「乗って。」

助手席のドアを開けて促す彼。

車は、ウチのと同じくらいの大きさ。

身なりからも、ある程度の地位がうかがえる。

こういった人は、私の周りには多いのだ。

「……………濡れてるから。」

私が、何処の誰か分かっての行動なのだろうな…………。

きっと、この悲しみも

なかったことになる。

帰ったら……………またいつもの生活。

抵抗しても仕方のない事だからと諦め………車に乗り込んだ私に………




しかし彼は、私の想像とは違う質問をしてきた。
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