卒業します
「あの…………
色々ありがとうございました。
…………………………それで…………
お名前をお伺いしても良いですか?」

「あぁ、ごめんごめん。
自己紹介が、まだだったね。
僕は、竹内春人です。
仕事は……………まぁ良いかぁ。
年は、今年の誕生日がきたら30だから…………
夏苗ちゃんとは、一回り違うのかな?」

「あの………
どうして私の名前を…………。
それに洋服も………………」

「あぁ、びっくりしたよね?
ごめんね。
君の事は、パーティーで何度か見かけてたし
君のお父さんに紹介された事もあったから知ってた。
まぁ、暗闇で雨の中にいたときは誰かなんて分かんなかったけどね。
車に乗せて、顔を見てピンときたんだ。
お家に連絡して『体調を崩して眠っているから今日は預かる』って話したら
直ぐに迎えに行くって言われて………
寝てるからって話して、荷物だけ取りに行ったんだ。
さすがに、我が家に年頃の女の子の下着や部屋着はないからね。」

そう言って笑うと、コーヒーを一口飲んで深く腰かけ直した。
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