卒業します
「はぁ、そうだったんですね。
覚えてなくて、すみません。
あの………
お父さん達は………大騒ぎしてご迷惑を………」

「あぁ、それなら誠………………
あっ嫌…………バタバタはしていたけど
大事にはなってなかったから、安心して。
実は、君だと分かった時直ぐに連絡を入れたんだ。
さすがに、お嬢様が帰らないと誘拐を考えるだろうからね。」

彼………春人さんの機転で、警察は免れたみたい。

「…………………ありがとうございます。」

「何があった?って聞いてあげた方が良い?
それとも、そっとしておいて欲しい?」

気遣いのある質問に、甘えそうになったけど…………

泣きすぎて、目が重い。

ショボショボする目を擦っていたら

「それは、また今度の方が良いね!
擦らず、冷やしておやすみ。」

そう言うと、やはり多岐さんを呼んで

寝室に案内するよう頼んでくれた。

「ゆっくりおやすみ。」

「ありがとうございます。おやすみなさい。」

部屋を後にする私を

先程と同じ、温かく懐かしい笑顔で送ってくれた。
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