卒業します
「………えっ?……………えぇ??…………どうして???」

ニコニコ笑う春人さんと

ブスッとふくれた顔の誠ちゃん。

あれっ?

ふくれた顔の誠ちゃんを突っつきながら、種明かしをしてくれる。

「僕が誠次を呼んだんだ。
夏苗ちゃん、誠次のこと避けてたでしょ?
熱もあることだし、保護者と一緒に帰りなさい。
嫌なら俺が病院に連れて帰って、注射するよ。」

誠ちゃんと春人さんは、知り合い??

……………っていうか、とっても親しそう。

私が避けてたことも分かってるみたいだし……………。

それより、誠ちゃんと帰るって………!

おまけに、避けてたことバラしたしぃ~

朝から驚きの連続で、本格的に熱が出そう。

チラチラ誠ちゃんと春人さんを、交互に見ていたら

「ほら、行くぞ。」

強引に私の腕を引っ張って、ベットから降ろしてしまう。

「あっ、ちょっと待って。」

慌てる私に、親指を立てて合図すると

「誠次、病人は優しく扱え。
………とは言っても、そんなに酷くないから
帰りにちょっと買い物を頼む。
俺のケーキといつもの雑誌、後は…………
来週末出張だから、ネクタイを買っといて。
夏苗ちゃんと一緒なら、若い子にウケそうなのを選んでくれるから。
夏苗ちゃん、あそこのケーキ美味しいから
ついでに食べて、体力つけておいで。」

「なんで俺がぁ!」

怒る誠ちゃんに、動じることもなく

「あっ、そう。
俺は、別に良いんだけどねぇ~
貸し……………覚えてる?」って………

春人さん…………脅してる??

「分かったよぅ!!
夏苗!行くぞ!!」

子供の頃以来の手に、ドキドキしてたら………

「デート…………楽しんでおいで。」と耳打ちされた。

……………………………………。

真っ赤になる私に「可愛いねぇ~」と

もう一度、耳打ちして送り出された。

誠ちゃんと春人さんって………

どういう間柄??

それより…………

私の気持ちを知ってるの?

戸惑いながら

手を繋いだまま、長い廊下を進んだ。
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