卒業します
「こっちのチョコのと…………フルーツいっぱいのやつを1つづつ。
飲み物は、ホット2つで。
あっ、後でティラミスと今のフルーツいっぱいのとミルフィーユを
持ち帰りでお願いします。」

メニューも見ないで、慣れた注文をする誠ちゃん。

「よく来るの?」

彼女のことが頭に浮かんで………少し曇った表情の私に

「……………………たまに。
アイツ…………春人が買ってこいって……。
アイツ、女みたいに甘い物に目がないんだ。
ここのところ、この店がマイブームで
週一で買いに来てる。」

「えっ!?
誠ちゃんが??
春人さんのケーキを!!」

あまりにびっくりする内容で、思わず大きな声を上げてしまった。

「……………………あぁ。」

今日は、一日中驚きっぱなしだ………。

春人さんの耳打ちした『デート』の言葉に

今まで普通に向かい合って食べていたことが、恥ずかしく感じられる。

「ねぇ、それ少し頂戴。」

躊躇うこともなく、私のケーキにフォークが伸びた。

「…………あっ、………………えっ!」

あれ程スキンシップがなかったのに……………どうして??

春人さんじゃないけど、ホントにデートみたい。

春人さんお薦めの美味しいお店らしいのに

ドキドキし過ぎて、味の分からないまま食べ終わってしまった。

その後も

春人さんの雑誌を買いに本屋さんを訪れたり

ネクタイを選ぶ為に

紳士服のお店をブラブラして

春人さんらしいやわらかい色のネクタイを選んだ。
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