卒業します
「夏苗、大丈夫か?」

今日の誠ちゃんは、ずっと私を心配してくれる。

手を繋いで、後ろを気にかけて振り向いて…………。

ダメだって分かってるはずなのに………期待してしまう。

誠ちゃん、これって……罪だよ。

学校を出たのが2時過ぎ……。

あれから四時間が経って

いつも訪れていた公園にも、夕日がかかってキレイ。

「………………………もうちょっと、時間…………いいか?」

公園に誘われて、ベンチに腰かけると

「…………………あのな。
俺…………………夏苗が俺を好きなこと知ってて…………キスした。
お前に見せたかったから。」

えっ?!

直ぐに、先日の失恋が頭に浮かぶ。

「…………………………………………………ごめん。
傷つけることが分かってて………………見せたんだ。
夏苗が俺を好きだと気づいたのは……………
お前が小学校の低学年くらいだった。
初恋が俺って、嬉しかったし可愛いかったんだ。
妹みたいに思っていたからな。
なのにお前は、それから急に習い事や勉強を頑張りだして……
お袋に頼んで、一時間でもいいから連れ出せるようにして貰った。
無邪気に楽しむお前を見ると、帰って遅くまで頑張るお前が可哀想になって
『夏苗に、もう少し遊ばせてやって欲しい』と
おじさん達に頼みにも行ったんだ。
答えは………『夏苗が頑張るのを、応援してやって欲しい。』と。
本人と親が頑張ると決めた以上、俺には無理だと思って…………距離をおいた。」

そんな事があったの?

誠ちゃんは……私を守ろうとしてくれたんだ………。
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