卒業します
「俺は……自分の力の無さにイライラして………結構荒れたんだ。
ケンカばかりの毎日の頃、春人に会って『ガキ』だとバカにされた。
初めは腹も立って、アイツの言うことなんてムシしてたんだけど
よくよく考えてみると………アイツの言うことはもっともで
荒れて暴れるなんてガキでしかないと思ったんだ。
それからは、春人に家庭教師をしてもらって大学を目指した。
夏苗が俺のことを、今でも好きだと知っている。
俺もお前は大切だし…………可愛いと思っている。
ただ……………妹としてなんだ。
大学に入って、今の彼女と付き合うようになって
夏苗が俺のことを、これ程好きでいてくれたんだと気づいて……
このままにしておけないと………
帰る時間を見計らって………キスしたんだ。
思った以上に傷つけて…………焦ったけど。
春人に連絡して………お前を助けてもらったから…………借りが出来た。」

クスッ。

「それで『貸し』なんだ。
……………………誠ちゃん、今までありがとう。
いっぱい、いっぱい守ってくれてたんだね。
直ぐに諦めるのは…………難しいけど
なるべく早く妹に戻るから
また駄菓子屋さんに連れて行ってね。」

笑えてる。

これなら、思うよりも早く妹に戻れるかな?

ドキドキしたり、悲しい思いもいっぱいしたけど……

やっぱり誠ちゃんを好きになって良かったな。

帰りの手繋ぎは、幼稚園の頃を思い出したの。
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