卒業します
「先ずは多岐さんに、コーヒーを入れてもらおう。
美味しいケーキがあるからね。」

「あっ、この間のケーキもとっても美味しかったです。
…………………誠ちゃんと一緒だったから、緊張で分かりずらかったけど。
それでも美味しかったから……。」

「夏苗ちゃんは、正直だね。
今日は、俺とだから緊張しないでしょう?
しっかり味わって食べたら良いよ。」

うん、春人さんってやっぱりお兄ちゃんみたい。

春人さんに勧められるまま

気づくと二つも食べていた。

「ホントに美味しいですね!」

「うぅ~ん、良いねぇ!
誠次と食べても、いつも仏頂面で
美味しさが半減するんだよ~
その点、夏苗ちゃんと一緒だと倍増以上だよ。」

春人さんは、本当に好きみたいで

話ながら三つもペロリと食べちゃった!

「お医者様なのに、甘いものいっぱい食べても怒らないんですね?」

「適度な運動して、頭を使ってたら消費するよぅ。
それに、美味しい物を食べてストレスがない方が良いような気がするよ。」

何だか、女子高生のような言い訳に

お医者様だよね?って疑いたくなるけれど

これでも立派な校医さんなんだよね。

「せっかく食べるんだから
体やダイエットのことなんて忘れて、美味しく頂かないと損しちゃうよ!」と

もう1つケーキに手を伸ばしたところで………

「春人坊っちゃん、まだ食べるつもりですか!
ちょっと目を離すとこれだから……………
お小さい頃から甘いものに目がなくて…………
お医者様が糖尿なんて困りますよ!」と

多岐さんに怒られた。

ちょっと舌を出して笑って誤魔化しても……………

30歳を越えたおじさんじゃあ………………。
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