卒業します
「じゃあ、出発しようか。
桜ちゃんと玲奈ちゃんは、亨ちゃんの車に乗ってくれる?」

「亨ちゃん?!」

「えっ。
……………山木…………先生…………?」

下の名前にピンときた桜は、驚きと戸惑いの声。

「おい!春人、止めろよ!!
岡本さんと木下さんがびっくりしてるだろう!」

「ちょっと、ちょっと亨ちゃん。
岡本さんと木下さんはないんじゃない?
他の人から見て
おっさんが『さん付け』って怪しいよ。
玲奈ちゃんと桜ちゃんと夏苗ちゃんって呼ばないと。
君たちも!
先生なんて呼んじゃダメだからね。
夏苗ちゃんの『春人さん』は、個人的に気に入ってるから
みんなは『春君』『亨ちゃん』
…………………後藤君って下の名前なんだっけ??
まぁ良いかぁ。
『後藤君』で呼んでね!」

「どうして山木先生は、亨君じゃなくて
亨ちゃんなんですか??」

聞きにくい質問をしてくれた玲奈に

よくぞ聞いてくれました!!と、春人さんが話始めた。

「高校一年の時、俺と亨ちゃんは同じクラスになって………………………」

長いので、要訳すると

今とは違って

とっても小さく声変わりも済んでなかった先生は

男子校のアイドルだったみたい。

『亨ちゃん』はその頃の愛称で

本人は嫌がってるらしいけど

春人さんは面白がって、未だにそう呼んでいるみたい。
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