卒業します
「疲れた?」

黙り混む私に心配してくれる優しいお兄ちゃん。

ドキドキする気持ちとまだまだ向き合う勇気はないから…………

暫くは、このままが良いなぁ。

「ううん。
今朝起きるのが遅かったでしょう?
実はね…………。」

昨日の夜、女子会で話した事をかい摘まんで話す事にした。

もちろん、自分の気持ちも。

だって、二人の事だけ話すのってズルいでしょう?

「玲奈は、フィアンセが決まってるけど………
ホントは、恋がしたいの。
でもそれは…………みんなを不幸にするからって我慢してるみたい。
だから………自分で心をコントロールして
『好き』だと思わないようにしてるの。」

「フィアンセを好きになれないの?」

「それが…………まだ小学生だって言ってた。
その子が二十歳になったら恋愛するって………………。
でも……………好きな気持ちをコントロールするのは難しいよね?」

「まぁ、そうだね。
だから玲奈ちゃんは………ボーイフレンドって言ったんだ。
自分にブレーキをかけてたんだね。」

「でも恋がしたいから………『デートしよう』って言ったんだと思う。
私は、玲奈に幸せだって思って………過ごして欲しいんだぁ。
勝手な事は、言えないけど……
相手が二十歳になったからって、恋愛出来るとは思えなくて。
好きな人と恋愛して結婚出来るのが理想だけど
例え結婚は無理でも、好きな気持ちにウソはついて欲しくないんだ。
私は……
誠ちゃんと結婚出来ないし、失恋は悲しかったけど
誠ちゃんを好きになった事は、後悔してないの。
誠ちゃんがいるから、色々頑張れたし
誠ちゃんが好きだから、毎日ハッピーだったもん。
玲奈にも、我慢しないで欲しいなぁって思うの。
桜は…………………
これは内緒にしててね。
山木先生にずっと前から片思いしてたの。
まさか、春人さんのお友達だとは思わなかったけど………。
先生と生徒だから恋愛は難しいと思う。
けど……
この旅行で、ちょっとでもホントの桜を知ってもらえたらなぁってね。」
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