夏の終わりとアキノソラ
「親父、ちょっと深雪(みゆき)さん送ってくる」
「あ?あぁ…はいよ。」
戸惑いながら返事をした大将がちらっとこっちをみてきたような気がしたけれど、私はわざとメニューをみて気付かなかった振りを、気にしていないような振りをした。
「ごちそうさまでした。」
深雪さんと呼ばれた女性が、丁寧に挨拶をする。
二人が店を出ていくとき、深雪さんを間近でみてしまった。
気立てが良くて女性らしい素敵な人だった。
その後は、私の心はもう何も感じなかった。
痛くもかゆくもない。ただ、心にぽっかりと穴があいたような感覚がいつまでも残っていた。
「大将!お勘定お願い!」
私は出来る限りの笑顔を大将に向けた。
「汐ちゃん、帰るのかい?もうちょっと待ってくれりゃあカズが帰ってくるけどよ。」
「ううん。今日は大丈夫!」
「そうかい。わりぃねぇ。きぃつけて帰ってくれ。」
「ありがと。ごちそうさま!」
外にでると、はく息が白かった。寒い。もう冬だ。
私は振り返ってふくすけをみた。
「さよなら」
気が付いたらそう呟いていた。
「あ?あぁ…はいよ。」
戸惑いながら返事をした大将がちらっとこっちをみてきたような気がしたけれど、私はわざとメニューをみて気付かなかった振りを、気にしていないような振りをした。
「ごちそうさまでした。」
深雪さんと呼ばれた女性が、丁寧に挨拶をする。
二人が店を出ていくとき、深雪さんを間近でみてしまった。
気立てが良くて女性らしい素敵な人だった。
その後は、私の心はもう何も感じなかった。
痛くもかゆくもない。ただ、心にぽっかりと穴があいたような感覚がいつまでも残っていた。
「大将!お勘定お願い!」
私は出来る限りの笑顔を大将に向けた。
「汐ちゃん、帰るのかい?もうちょっと待ってくれりゃあカズが帰ってくるけどよ。」
「ううん。今日は大丈夫!」
「そうかい。わりぃねぇ。きぃつけて帰ってくれ。」
「ありがと。ごちそうさま!」
外にでると、はく息が白かった。寒い。もう冬だ。
私は振り返ってふくすけをみた。
「さよなら」
気が付いたらそう呟いていた。