夏の終わりとアキノソラ
「あっ、おばあちゃん、これ。お見舞いに。」


私はお見舞いにもってきた花束をおばあちゃんに手渡す。


「まぁまぁ、素敵なお花。ありがとうねぇ。」


「うん、花瓶ある?水入れてくるよ。」


部屋にも水道はあったけど、おじいちゃんとおばあちゃんを二人きりにしてあげたくて、私は花瓶をもって部屋を出た。


やっぱり二人はいいな。なんか、ほのぼのしてて。



「汐?」


花瓶を持ってウロウロしていると、後ろから声をかけられた。


「…カ…ズ…」


一瞬時間が止まった気がした。
振り返ると、そこには1ヶ月半前より髪が少し伸びた、カズが立っていた。



「久しぶりだな。最近顔みせねーけど、元気にしてんのか?」

いつもと何らかわらない様子で話し掛けてくる。

少し、古傷がしみた気がした。


「うん。まぁ元気だよ。」


「親父が心配してたから、まぁ、暇があったらまた顔だせよ。」


「うん。」


「見舞いか?」


「うん。カズは?」


「俺も。」


「そう。誰の?」


「別に。お前には関係ねーだろ、お前は?」


「カズには関係ないよ。」
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