夏の終わりとアキノソラ
「そう、お似合いじゃん。」私は動揺を悟られないように、最上級の笑顔でカズをみると、



眉が下がった、少し寂しそうな顔でこっちをみていた。


「お前は、新しい彼氏でも出来たか?」


「まぁな。」
私は、嘘をついておどけたようにカズを見た。


「じゃぁ、振られたらまた来いよ。」
眉が下がった表情のまま、カズはそういって笑った。


「カズさん!」
鈴の音のような綺麗な声がカズを呼んだ。


声の主を見る。
深雪さんが走ってこっちへ駆け寄ってきた。


「ここにいらっしゃったんですね。」

「ああ、はい。」
カズが私には見せないような表情で深雪さんにわらいかける。


「…こちらは?」

深雪さんが遠慮がちに私をみてくる。


「あ?あぁ…こいつは」


「広野汐です、カズとは客と従業員の関係で。」


私が口を挟んで自分とカズの関係を説明した。


「そうなんですか。はじめまして、笹原深雪です。」

優しく綺麗に笑いかけてくれて、あらためて素敵な女性だな、と思ってしまった。




なんだ。カズは自分の片思いみたいに言ってたけど、どうみても深雪さんもカズのこと好きじゃん。

両想いなんじゃん。
< 21 / 45 >

この作品をシェア

pagetop