夏の終わりとアキノソラ
水を入れた花瓶をもって病室に戻ると、おばあちゃんが心配してくれていた。


「汐ちゃん、遅かったねぇ。大丈夫だった?」

「うん、ごめんね。ちょっと、知り合いに会っちゃって。」

「そうだったの。」

おばあちゃんはにっこりと微笑んで、心底安心した、というような顔をした。
泣いたことはどうやらばれていないらしい。よかった。


「おじいちゃん、寝ちゃったの?」

「ええ、今日は朝早くから起きていたから、眠くなっちゃったみたいなの。」

「そっか。」


それから、お昼ご飯の時間までおじいちゃんは起きなくて、お昼頃私は病室をあとにした。
時計をみると、午後1時をまわったところだった。


お腹が空いていた。あんなことがあっても、お腹は空くのだな、と思う。
でも、なんとなくこの辺りで食事をする気分にはなれなくて、パンをいくつか買って私は自宅へとむかった。
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