夏の終わりとアキノソラ
「ったく、おめーは本当に愛想がねーな。わりぃーねぇ、汐ちゃん」


大将がすまなそうに私をみる。

「いーえ。いつものことだから」


カズは大将の息子で、次男らしい。本名は和人(カズヒト)なんだけど、大将がカズって呼ぶから、次第に私もそうよぶようになっていた。私は長男にはあったことがないけれど。どうやらもう結婚して家をでているようだった。だから、大将のお店はカズが継ぐんだって。私が初めてここにきた3年前にはもうすでに、カズはお店に出ていた。


それからあれやこれやと大将が頼んでもいないおかずを色々とご馳走してくれて、ビールを3杯飲み干した頃には私のお腹は満腹を訴えていた。




「あー美味しかった。大将、いつもごちそうさま。」


「おう!汐ちゃん、またおいで!おい、カズっ!店はもう俺一人で十分だから、汐ちゃんを送ってこい!」

「おー。着替えてくっから外で待ってろ。」


「んー。ありがと。」



私は一人店の外に出て、カズをまつ。別に、一人でも帰れるんだけど。カズに送ってもらうこともなんとなく習慣になっていた。
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