夏の終わりとアキノソラ
私は、ゆっくりと向き直り、カズの頬に自分の唇をあてた。

素直になれない私の精一杯の愛情表現。


それから、また眠ってしまったカズを起こさないようにそっと腕をほどいてベッドから降りて、今度こそ、カズの部屋をあとにした。


一か八かの賭けだった。


朝になって、もしも今日のこのことをカズが覚えていてくれたら、私の気持ちを素直に打ち明けよう。


でももし、カズが覚えていなかったら、その時は。

このことは、私の一生の宝物として、胸にしまって、生きていこう。


私は、そう決意して階段を降り大将のところへ急いだ。
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