夏の終わりとアキノソラ
バタン、


何かを閉める音がしてゆっくり目を開ける。
見慣れない天井が視界に入る。あれ、ここどこだっけ…


「起きたの?」


私の頭が働いていないうちにかけられた声でいっきに昨夜のことを思い出す。


ゆっくり起き上がって声の主をみる。

「カズ、体調平気なの?」

「ああ。少し頭が痛いくらい。親父は?」


「市場行った。」


何か変わるかなと思っていた私はいつもとかわらない調子のカズに淋しいようなホッとしたような、やり場のない感情を覚えた。


「ってか、何でお前はここにいるわけ?」


台所から、カズが居間へ入って来て腰を降ろす。


「大将が、市場行くからもう少し居てくれって。」


「じゃなくて、その前。」

「昨日の晩、カズが帰ってこないって大将から連絡があって、一人で大変そうだから手伝いにきた。」


私がそう言うと、カズは黙り込んだ。
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