夏の終わりとアキノソラ
「おばあちゃん達だって、ずっと良いことばかりだったわけじゃないのよ。」


「そうなの?」


「そうよ。みんなそうですよ。でも、それに負けないくらい、私はおじいちゃんのことが大切だったのよ。汐ちゃんも。汐ちゃんが本当に大切に思える人を見つけなくちゃねぇ。この人以外は興味ないの、って思えるような人を。じゃあ、私はおじいちゃんの病院に行ってきますね。後片付けを、よろしくお願いします。お昼過ぎには戻りますね。」

「はい、いってらっしゃい。」







《そいつ意外の女は興味ねぇからな。》

《この人以外は興味ないの、って思えるような人を。》

私は、こんな風に人を好きになったことがあっただろうか。

いつも、自分が愛されることばかりを考えていたのではないだろうか。


カズはきっと、おばあちゃんがおじいちゃんを思うのと同じ気持ちを、好きな人に抱いているのだ。
そう思うとなんだかとても淋しい気持ちになった。



それから、お昼過ぎにおばあちゃんが帰ってくるまで、ずっとカズのことが頭から離れなかった。


なんだか、急にカズを遠くに感じた。カズはそういうことには興味はないのだと勝手に思っていたから。
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