dog life
ドクン、ドクンと和の心臓が嫌な音をたてる。犬たちの悲痛な叫びが聞こえてきた気がして、目を閉じた。

和は、ペットショップやテレビでしか犬と関わったことがない。ずっと犬のいる世界に憧れていた。でもこんな部分もあったなんて、予想もしていなかった。

ーーーどうして?どうしてママは僕を捨てたの?

ーーーどうして私を殴るの?

ーーー嫌だ、怖い!!

ーーーここはどこ?私はどうなるの?

ーーーパパ助けて!!

涙がこぼれそうになった和を、あかりが手を引いて外へ連れ出した。

「ごめんね。初日に見せる場所じゃないよね…」

目に涙を浮かべながら、あかりは和の背中を優しくさする。あそこにいる犬たちも、かつてはこのように誰かに愛されていたのだ。それを、人間の都合で……。

「和、あなたをここに連れてきたのには理由があるの」

典子が腕に子犬を抱き、和の前に立つ。

「この子の飼い主になってほしいの」

その子犬は、秋田犬のような和犬に見える。しかし、和が図鑑などで見た和犬とはどこか違う。
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