dog life
「その子は和犬ミックスなの。秋田犬の血が入っているだろうから、これから大きくなるわ」

「とってもかわいいでしょ?私はその子の兄弟にあたる子を飼ってるんだよ!」

和は典子とあかりの顔を交互に見る。そして、腕の中で甘えてくる子犬を見つめた。たしかにかわいい。しかしーーー。

「いや、僕は犬なんて飼ったことありません!無理ですよ!」

和は「無理」という言葉を何度も言うが、あかりと典子は「和くんならできる!」という根拠の全くない自信をぶつけてきた。

「何かあったら、犬博士の私が相談に乗ってあげるから!」と典子。

「先輩の私も協力するから!」とあかり。

こうして、和は強制的に犬を飼うことになったのだった。



子犬の名前は「福(ふく)」と言うらしい。典子がつけたそうだ。

ここで働いてるスタッフたちは、住み込みで働いている人の方が多い。

社員寮につくと、あかりは「この子がうちの子!福の兄弟!」と言って部屋から子犬を連れてきた。

あかりが連れてきた子犬を見て、福が嬉しそうに尻尾を振る。地面に下ろすと二匹は楽しそうにじゃれ始めた。

「この子はロンド!人見知りで大人しいんだけど、兄弟には積極的みたい」
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