dog life
あかりが安心したように微笑む。

じゃれ合う二匹はとてもかわいらしい。和は不安を一瞬忘れることができた。

「この子たちはね……多頭飼育崩壊されたんだ……」

二匹を見ながら、あかりが静かに話す。

「多頭飼育崩壊？」

「動物を多頭飼育した飼い主が、無秩序な飼い方による異常繁殖の末に飼育不可能になってしまうことを多頭飼育崩壊って言うの」

あかりは真っ直ぐに和を見つめる。

「絶対に幸せにしてあげてね！」

和は大きく頷いた。



「キャンキャン！」

次の日、和は福の鳴き声で目を覚ました。

昨日は和の歓迎会で盛り上がり、犬たちも人間と一緒にはしゃいでいた。

ブラック企業で働いていた頃はありえなかった十一時にふかふかのベッドで眠った。今は日が昇る前だが、起こされたことに対して不快感などは全くない。

「そうか…。散歩に行かなきゃいけないんだ…」

今日から和はここのスタッフだ。犬の散歩に行くために早く起きなければならない。

「福、起こしてくれてありがとう……」

福の方を見た和は固まった。目の前のことが夢であってほしい。しかし、どうやら現実のようだ。
< 12 / 20 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop