dog life
福は大急ぎで片付けた部屋に置いてきている。あかりもロンドは置いてきている。

二人の目の前には、たくさんのゴールデンレトリバーがリードや首輪なしで自由に動いている。

「リードとかしなくていいの?」

和が訊ねると、あかりは「大丈夫!」と言って笑う。そしてゴールデンたちに向かって「散歩行くよ〜!!散歩〜!!」と叫ぶ。

すると、ゴールデンたちはゆっくりと歩き出す。宮田のおうちの敷地内を出て、山道を慣れたように進み出した。

「ええっ!山の中入ってるけど!」

戸惑う和にあかりは「大丈夫〜!」と笑う。和は不安になりながらもあかりたちについて行った。

何十分も山道を歩くと、広い草原に和とあかりたちはついた。

「ここは……」

「いいところでしょ?」

あかりが微笑み、柔らかな草の上に座る。和も同じように隣に座った。

山道を歩いた時よりも犬たちははしゃぎ、自由に遊び回る。

「……私ね……」

はしゃぐ犬たちを見ながら、あかりが少し暗い声で言う。明るいあかりにしては珍しい。和が横を見ると、あかりは犬たちを眺めながら暗い表情で話す。

「私も、和くんと同じようにブラック企業で働いてたんだ。和くんみたいに三年は頑張れなかったけど……」
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