dog life
夕方、和が部屋に戻ると、部屋はきれい……に見えた。

すぐに和は異変に気付いた。部屋はきれいだが、ガトーショコラが消えている。

「福!どこ?」

和が呼ぶと、福は尻尾を振りながら和に駆け寄ってくる。その口の周りにチョコレートが付いていた。間違いない、福がガトーショコラを食べてしまったのだ。

「福!あかりさんがせっかく作ってくれたのに!」

和は食べられたことにショックを感じながら、あかりに謝りに行くために部屋を出た。

あかりは、ドッグランを走り回る犬を眺めていた。ドッグランには数頭の犬が走り回っている。大きさや毛の色も様々だ。その隣に和は立ち、「あかりさん」と声をかける。

「ん?どうしたの?」

あかりはいつものように笑う。和は別の話から始めることにした。

「あの…ドッグランを走り回っている犬の犬種って何?」

和が訊ねると、あかりは楽しそうに教えてくれた。

「一番手前にいるのは、イングリッシュセッター!イギリスが原産国の犬。狩猟犬として飼われることが多いんだけど、ショードッグなどでも活躍している犬だよ!」

和は図鑑で見たことのある犬種を見つけ、指差した。

「あっ!あの犬種は見たことある!ミニチュアダックスだよね?」

「ピンポーン!ドイツが原産国の犬!手足が短いのは、アナグマを狩るために改良されたんだよ!」
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