dog life
「さあ、施設を案内するよ〜!」
典子がそう言って歩き出し、和も後に続く。すると、前方から垂れ耳の大きな犬が鳴きながら走ってきた。全身クリーム色をしている。
その犬は典子に飛びつき、「ク〜ン」と言いながら甘える。和の目が輝いた。
「ゴールデンレトリバーですね!」
典子は「あれ?犬種とか知ってるの?」と驚きながら和を見つめた。
和の実家はマンションなので、ペットを飼うことはできず、和はこれまでペットショップやテレビでしか犬は見たことがない。しかし、犬の図鑑などを見るのは好きで犬種はある程度わかる。
「動物は好きですよ」
和がそう言うと、典子にべったりと引っ付いていた犬は和に近づいてきた。和は「かわいい!」と言いながら、犬に触れる。
「その子はジョン。三歳のオスだよ。飼い主さんが病気で入院しているから、一時的に預かってる。うちでは預かったりもしてるんだよ!」
典子が説明し、和はもう一度ジョンを見る。ジョンは大きな尻尾を振って、元気よく鳴いた。
「頑張ってるんだね…」