dog life
ブラック企業での日々を思い出し、和は泣きそうになった。

「さて、和くんに問題です!ゴールデンレトリバーはもともと何をする犬でしょうか?」

泣きそうになった和に、典子はにこやかに笑って問題を出す。おかげで和の涙は引っ込んだ。

「えっと……」

和の頭の中に、東京の街中で見た光景が浮かぶ。ハーネスをつけて歩くゴールデンレトリバー。目の不自由な人をしっかりと誘導していた。

「盲導犬ですか?」

典子は手で大きなバツを作り、「ブッブー!」と言う。

「正解は…水猟犬でした!!」

典子は楽しそうに、ゴールデンレトリバーのことを語り出した。

「ゴールデンレトリバーはイギリス原産の大型犬!ハンターが撃ち落とした獲物を回収する役割を担う犬だったんだよ!今は盲導犬の犬種として選ばれているけど、一番多いのはラブラドール。原産国はカナダ。ゴールデンと同じく猟犬として活躍した犬だよ!ちなみに、盲導犬として初めて採用された犬種は実はドイツが原産国のジャーマンシェパードだったんだけど、顔が怖いという理由でラブラドールとかゴールデンが多くなったんだよね〜。あとは……」

犬の話が止まらない典子に和がジョンを触りながら困っていると、「典子さ〜ん!」と明るい声が和の耳に届く。
< 5 / 20 >

この作品をシェア

pagetop