dog life
「付いてきて!案内するよ!」

あかりに肩を優しく叩かれ、和は「は、はい!」と返事をする。

典子に一礼をし、和はあかりの後に続いた。



宮田のおうちは東京ドーム二個ほどの広いスペースがあり、敷地内に広いドッグランやカフェ、動物病院などがあると和はあかりから聞いた。

「ここが犬舎!きっとびっくりするよ〜」

あかりが扉を開けると、たくさんの犬の鳴き声が二人を出迎える。大きな黒い犬とその子どもたちが、和を「誰?」と言いたげな目で見ていた。

「かわいい…」

和は子犬を抱き上げた。まるでぬいぐるみのように愛くるしいこの子犬が、一匹の子犬を舐めている母犬のようにたくましくなるとは思えない。

「さて問題です!この犬種はな〜んだ?」

あかりがいたずらっぽく笑いながら訊ねる。和は「えっと…」と言いながら記憶を辿るが、ちっとも思いつかない。

「図鑑で見たことはある気はするんですが、わかりません」

和がそう答えると、あかりは「じゃあ答えね!」と和のように子犬を抱き上げる。

「この子たちは、バーニーズマウンテンドッグ!スイスが原産国だよ!アルプスの厳しい気候の中で、牧畜犬をしていた犬たちだよ!」

「そうなんですか。あかりさん、典子さんみたいに詳しいですね」
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