君からのヘッドフォン
「は?栞帆?」


返事は返ってこない。

嘘だろ。しょっぱなこんなことなるか?


辺りを見渡して、色気のない女を探す。

…いた。

え、今の一瞬でナンパされてんじゃん。


急いで、栞帆の元へ向かう。


「いいじゃーん、遊ぼうよ?」

「え、いいです。遠慮します。3次元に興味ないんで」


栞帆はそう吐き捨てると、くるりと回って動き出そうとする。

ナンパ男は一瞬引いた顔をしたけど、女なら誰でもいいのか、わざわざまた手を引く。


「俺が持たせてやるよ?

君かわいいじゃん。1人で歩いてたら危ないよ?」
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