君からのヘッドフォン
あー、どうして用事あるとか、言わなかったんだろ。もったいない。

どうせ、面倒ごと押し付けられるってわかってたのに。


そんなことを思いつつも、几帳面な私は綺麗に角を揃えて、丁寧にホチキスで留めていく。

思っていたより時間がかかる。性格のせいで。


「…深井?」


ヘッドフォンをつけていたのに、このつぶやきが聞こえたのは奇跡だと思う。

パッと教室の入り口を見ると、そこには松下くん。


「何?」

「…いや、何してんのかな…って?」

「見ての通り雑用だけど」
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