君からのヘッドフォン
私は親切にもヘッドフォンを外して、会話をする態勢に入る。

すぐ下から聞こえる音漏れを必死に耳で捉えつつ、また、作業を再開した。


「…手伝おうか」

「そうしてくれるとだいぶ助かる」


そう言うと松下くんは驚いたように目を見開くと、少し微笑んだ。


「…別にいいよ、とか言うもんじゃねぇんだな」


なんだか嬉しそうに微笑みながら教室に入ってくる松下くん。


「いや、だって早く帰りたいし」


早く推しを愛でる生活に戻りたい。

通信容量を気にせずに動画サイトを見たい。

家に帰ったらアニメだって溜まってるし。
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