君からのヘッドフォン
そんなことを思っていた時。

「あれ、深井さん?」

「あ、伊澄くん」


教室の入り口から顔を覗かせる男の子、平川伊澄くん。

この学校で唯一、私が推している声をお持ちのお方。

可愛いハスキーボイスが素敵です。

クラスで自己紹介した時に一瞬で名前覚えた。


「何してるの?雑用?
それに松下くんまで」


そう言って教室に入ってくる伊澄くん。

私たちの近くまで来て、大量のプリントを覗き込む。

さらりと流れたミルクティー色の髪が少し夕日に照らされた。

松下くんは平川くんを見つめて黙り込んでる。
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