君からのヘッドフォン
そして、嘘笑いを俺に向けて呟く。


「けど、お前にだけは渡さねぇよ?」


裏表の激しい王子だな、ほんとに。


言ってしまえば伊澄も俺もわりかしモテる方。

俺がクールだって言われてるのに相反して、こいつは爽やかだと女子にキャーキャー言われている。

けど、実際こんなもんだよ。そんな根っこから優しい奴なんていない。

裏表激しすぎて逆に尊敬するんだけど。


「あー、そう。…だからって諦めたりしねぇよ」


ため息とともにこぼれ落ちた俺の声もしっかり拾う男。


「ふーん、まぁ。今のところ勝算は俺の方が高いかな」
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