君からのヘッドフォン
伊澄はそういうと教室から出て行った。


「はぁ…なんなんだよ」


別に。深井に執着する理由は、好きだから。ただ、それだけ。

飾り気がなくて、笑わなくて。

女としてそれはどうなんだってくらい、適当で。

ただ、他の女とは違う、そういうところに惹かれた。


昔から、伊澄との女の趣味はよく似ていた。

だから、きっと。

おんなじだろう、あいつも。

ただ、負けたりなんかしねぇよ。


あの女───深井栞帆を手に入れる。

絶対に。
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