君からのヘッドフォン
人間なんて、よくわかんない。

今になって思うのは、知って何になるんだって、それだけ。

あの時はきっと、とっても嬉しくて、世界が明るくて。


なのに今は、白黒だ。

人ってわからない。

私も、自分のことがわからない。


「そう…。
私がくゆりさんを好きなのは、声がタイプだから」


だから、好きでもない男に語り出す私がわからないし、


「優しくて、甘い声で」


興味もない人に頬を緩ませている私がわからない。


「とりあえず、全部しんどい」


それに、ここまで話すくせに、本当のことを言えない私も、全然わからない。
< 46 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop