君からのヘッドフォン
別についてくることを断る理由もないので、そのまま存在を放置する。

私は音楽室の電気を消すと、カバンを持って教室を出た。


昇降口までの暗い廊下に2人分の足音が響く。


「…なに買うわけ?」


廊下に、松下くんの声が響く。

何回聞いても、好きな声ではない。


「ラノベの新刊。今日発売なの」

「ふーん…そ」


松下くんの話はそこまでだった。

2人でいるのに1人でいる気分になるほど静か。


昇降口を出て最寄りの本屋まで、足を進める。

私はカバンにしまっていたヘッドフォンを首にかけた。
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