君からのヘッドフォン
私は、伊澄くんを都合のいいように、利用しているだけなのに。

ただ、あの時の悲しみを、埋めることに利用しているだけなのに。

少しためらってから、ヘッドフォンの耳当てに指を触れる。


「ごめん、無理だよ。私、あなたじゃダメなの」


結局私は、こんな返ししかできないじゃないか───────
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