この空の果てで
出会ったのは、高校3年の時のクラス替えだった。
教室の前方に張り出されている座席を見て騒いでいるナツキが初対面だった。
「あー!俺教壇前かよ!」
「ちょうどいいだろ、お前うるさいんだから」
「俺、ナツじゃなくてよかったー」
「あーあ」
……うるさ。
今年は受験生だから静かな教室で勉強をしたかったのに。
だからわざわざこの学校の秀才の集うクラスに入るために無理して勉強してきたのに。
あんなうるさいやつと同じクラスだなんてむかついてしょうがない。
「でもさ、戸部くんカッコイイから許せちゃうよね。
ちょっとうるさくても。
結局戸部くんの周りはいつも人で溢れているんだもん。」
ワカナが隣で言った。
「はあ?嫌だよ、わたし。
せっかく勉強頑張ってこのクラス入れたのに」
「コハルもそのうち戸部くんの良さに気付くよ」
嬉しそうにワカナが席に戻って行った。