この空の果てで
*風薫る
薫へ
薫がいなくなって、もうどれくらいになるんだろうね。
わたしはまだ、全然あの時から進んでいないよ。
だめだよね。
でも、「俺のことなんて忘れてもいいから、幸せになって」って言われたけれど、忘れられるわけがないよ。
薫がわたしを大切にしてくれていたように、わたしも薫のことを大事に思っていたんだよ。
覚えている?
わたし達が出会った時。
わたし、すっごく冷たくて、薫に何言われても突っぱねていたよね。
本当は、わたし、ずっと薫に憧れていたんだよ。
自分にないものが多すぎて、むかついて、きつく当たっていただけなんだよ。
でも、わたしの方が間違っていたってはっきり認めたら、薫と普通に話せるようになって、好きになって、もっと話したいって思うようになったんだよ。
だんだん、毎日期待するようになっていて、「今日は何を話してくれるんだろう」とか、薫が休んだ日はすごく1日が長く感じられてつまらなかった。