この空の果てで
わたし、すごくあまのじゃくだから素直に好きとか言えなくて、薫はわたしの事をどんな風に見ていたかは分からないけれど、本当に好きなんだよ。
あの日の放課後、やっとわたしは「好きだよ」って言える準備が出来たのに、君は目の前で倒れた。
病気のことを、なんにも知らなくて、頭が真っ白になった。
余命わずかだったということも。
救急車を待つ時、なんで、って思っていた。
でも、気付いたんだよ。
「わたしがもっと自分の気持ちを素直に伝えられていたら、薫は病気のこともわたしに言えたのかもしれない」って。
何日かして、意識は戻ったけれど、何も食べられなくてどんどん痩せ細っていく薫を見るのがわたしはつらかった。
でも、薫が泣いていないのに、少しでもわたしを励まそうとしているのに、泣くのは違うと思ったから、泣かなかった。
これは、わたしの意志なんだから薫は責任なんて感じなくていいからね。
むしろ、弱いわたしを怒ってほしい。