新月の夜はあなたを探しに
16話
16話
黒葉の日記を見てしまってからというもの、葵音は考え事をすることが多くなっていた。
それため、彼女に「最近ぼーっとしてる事多いですが、体調悪いんじゃないですか?」と、心配されてしまっていた。
黒葉の日記を葵音なりに考えていると、どうしても悪い事しか浮かんでこなかった。
黒葉は、何かの日時までのカウントダウンをしているように思えるのだ。
それはどうしてか?
彼女に何かが待ち受けているという事だ。
それを彼女が知ることが出来るもの。
単純に考えれば、黒葉がどこかに帰らなければいけないという事だ。
けれど、それだと「間に合った。」という言葉の意味がよくわからない。
葵音と会う事で、何に間に合ったのか。
それをずっと考えていて思いついたのは、彼女自身にタイムリミットがあるという事だ。
黒葉は何かがあり、葵音に会えなくなる。
それを考えると、いろんな事を想像して始う。
仕事や実家の都合で海外などの遠くに行ってしまう。
結婚をしてしまう。
そして、病気などで生きる時間が決まっている。
それらを考えて思うのは、いつか彼女と会えなくなるのではないかという事だ。
葵音が考えたいずれかでも、葵音の目の前から彼女がいなくなってしまうのだ。
それが耐えられなくなるほど、葵音は辛かった。
彼女の姿を見るだけで切なくて、顔をしかめてしまうのだ。