新月の夜はあなたを探しに



 その日の夜は、2人でベットの上にスマホをノートパソコンなどを広げて、旅行の計画をたてた。
 海まではいつも渋滞したり、駐車場がなかったりするので、電車での旅にしようと決めた。
 黒葉は、それも嬉しかったようで「電車ならお弁当作っていきますね!」と、今からお弁当の中身を考えている様子だった。

 その間、葵音はホテルを決めて予約したり、電車を調べたり、プラネタリウムの予約までこなしていた。
 

 パソコンで予約したホテルや、プラネタリウムの写真を見せると、黒葉はますます楽しみになったようだった。

 パソコンなどを片付けていると、黒葉がゴロンとベットに横になりながら窓から見える月を見ながら言った。


 「早くお休みの日になって欲しいですね。」
 「あと10日だ。あっという間だよ。」
 「………葵音さん、私とっても幸せです。大好きな人とこんな風に一緒に過ごせるのって、こんなにも楽しくて、嬉しくて………毎日がキラキラしてるんですね。」

 
 黒葉のまっすぐな言葉と気持ちが、葵音の胸にすっと入り込んだ。
 好きな人にそんな事を言われて、嫌な恋人がいるだろうか。
 黒葉の言葉が嬉しくて、葵音は内心とても感動してしまっていた。

 今まで沢山彼女もいたし、関係をもった女性も多かった。
 けれど、その誰とも黒葉とは違っていた。
 葵音はそう断言出来た。


 何が違うのかなんて、葵音自身でもわからなかった。
 ただわかるのは、彼女が特別だという事だけだった。


 まっすぐな心も綺麗な黒髪も、少し泣き虫な所も、真っ白で綺麗な肌も、純粋でキラキラとした笑顔も、全てが特別だった。



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