ひだまりの詩
呼吸器科の初療室に入ると
すぐに救急車が着き、
ストレッチャーが運ばれてきた。
「1、2、3!」
ストレッチャーから患者を降ろし
ベッドに移す。
そこで俺は初めて患者の顔をよく見た。
「紗奈⁈」
「なんだ、渡邊、知り合いか?」
浅木先生に声をかけられる。
「あ、はい。最近会ってなかったけど、
幼馴染です。病弱で体力がなくて、
子どもの頃から喘息が酷くて、、」
「そうか、確かに数値がかなり悪い。
ご家族の連絡先は?」
「こいつ、親を早くに亡くして、
確か今は1人暮らしです。
頼る親戚もいません。」