卒業式の祈り
今日卒業式を迎える生徒の保護者達が一足先に、体育館に入っていくのをぼんやりと眺めていた。

本当なら、彼のお母さんも私の母もこの晴れがましい日に学校へ来ていたのかもしれないな。

ねぇ、三井くん

あなたのいない世界には

私にはどこにも居場所なんて見つけられない。

それがこの1ヶ月間でわかったんだ。

あなたが、私にとってどんなに特別な人だったのか。

どんなに必要な人だったのか。

「もう、来てくれないんだ、会えないんだね」

私はノロノロと目の前にある、3メートルほどの高さがあるフェンスに手をかけて登り始めていた。

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