卒業式の祈り
もしかしたら、誰かがフェンスから落ちていく私を助けてくれたんだろうか。

そこまで考えてそっと、口元から笑みがこぼれるのを感じた。

「どうしたの?サラ、大丈夫?もう行こう」

私の笑う表情にびっくりしたのか、ユキナは慌てて私の腕をひっぱって立ち上がらせた。

他の女子達が私の白くなったスカートを叩いて汚れを落としてくれる。

「うん、行こう、卒業式」

私は明るく言って、顔はなぜだかふんわりと笑っていた。
< 23 / 64 >

この作品をシェア

pagetop