卒業式の祈り
私とはあまり似ていない美人で賢い姉。

「卒業式に決まってるじゃない」

私は明るく答えてその手を振りほどく。

「何言ってんの?あんた昨日まで寝込んでたのに」

「だって、今日は三井くんがくるんだよ」

「だって三井くんはもう」

薄く微笑んで、私は逃げるように軽やかに玄関を飛び出していった。

「ちょっと待ちなさいって、サラ、お母さん、お母さんきてー」

姉の悲鳴のような声を背中に受けても構わずに学校へ向かって走りだしていた。

三井くん、待っててね。昨日まで体調を崩しちゃっていたけど、もう私は大丈夫。

今日の卒業式には絶対に出席するから。
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